インプラスについて
インプラスはリクシル(旧トステム)が販売している内窓製品です。現在のリクシルは窓サッシ以外の建材も販売するメーカーになりましたが、元々のトステムは窓やアルミ資材を中心としたメーカーでした。アルミサッシと呼ばれる窓には戸建て住宅向けの製品からマンション、ビル、店舗までそれぞれにたくさんの種類やグレードがありますが、なんとリクシルほどの大きい会社でも現在ではインプラスの一択となります。
インプラスfor renovationという商品もありますが、見た目の素材が違うだけで基本的に同じです。
インプラスはアフターマーケット向けに販売されている商品で、誰でも簡単に設置できるという特徴を強く持った製品であり、窓の専門店や建具業者でなくても取扱ができる流通の中にあるので、世の中にある様々な内窓製品の中で最も簡易的な商品です。 カタログに書いてある断熱性能の高さや結露を防ぐ事、防音効果に対するイメージは素材が樹脂である事や窓が二重になって間に空気層ができる事で得られる性能ですので、一見カタログを見ると相当に性能が高く見えてしまいますが、私達の体感イメージではカタログにあるような快適さは得られる可能性が低いです。 組み立てを行なっている私達の感覚では部材が薄く軽いという事や、枠の簡易性などを考えても高性能とは言い難く、今お使いの窓と変わらない性能だと比較して感じています。
二重窓としての欠点
・開閉を2回しなければいけないので面倒である
・換気で網戸にする時にやりづらい
・外窓と内窓の間が狭く窓の内側が汚れた時にガラスの掃除が困難である
・外の窓の鍵を開ける時に内窓が邪魔になる
・窓際のラインに飾り物などが置けなくなる
・手前側に窓が付くのでカーテンやシェード、ブラインドの設置がし辛くなる
・出窓などのメリットがなくなってしまう
・場合によって壁よりも内側に飛び出すので机やベットなどが壁まで寄せられなくなってしまう
・設置場所によるが空間的な圧迫感がある
・素材が樹脂なので静電気のほこりや汚れがつきやすい
・和室の障子などと比べると質感が下がってしまう
インプラスの断熱目的での欠点
インプラスで断熱する場合にペアガラスなどを組み合わせれば、相当な断熱効果を体感できるとイメージすると思います。断熱指数ではH-5等級などといった断熱性の高さで表現されますが、それは二重窓としての窓の中心部分の暖かさ指数であり、体感的な満足度はそのイメージよりもインプラスの場合、低くなってしまいます。 なぜかというと、簡易的な構造のためぴったり閉まる感が乏しいのでガタつきもあり、隙間風や気流の変化で不満足が残る事があります。
また、密閉間が乏しいと外窓と内窓の空気層に含まれる水蒸気の関係で、対流結露も起こるため、結露対策に期待する性能も低いです。
インプラスで断熱する場合の注意点
どんな建物でも屋外から屋内に向かって気圧がかかっているため、空気の流れが存在します。インプラスという商品は基本的に戸建て向けの製品という性能で、マンションのような気圧差の大きい開口部に設置すると、性能不足が著しく出てしまいます。
インプラスで断熱をする場合には、建物は戸建て住宅で開口部のサイズが中くらい以下の小さいものでしたら、窓にかかる気圧も弱いので断熱効果として選択肢の一つになる場合があります。
大きな窓へインプラスを設置してしまうと、インプラスに存在するガタつきから不満足に感じる方も少なくなく、インプラスの性能不足を感じてしまうので、そのような窓には高性能タイプの内窓をご検討ください。
断熱目的の場合にオススメ商品
窓を断熱する場合に、戸建てやマンションなど今のアルミサッシ窓がどれだけガタつきが少なく、ぴったり閉まっているかが重要なポイントです。窓を断熱する時に2つの重要なポイントは、窓が面として断熱性能が高い事、もうひとつは、その窓の隙間が少ない事です。
ですからマンションなどで、セミエアタイトなどの密閉感の高いサッシには高断熱ガラスの真空ガラススペーシアなどでも満足度は高く、戸建て住宅の引き違い窓など窓を閉め切っていても隙間が多い窓には、やはり内窓の設置で隙間も小さくするという事がポイントになりますが、ご説明のように機密性能が簡易的なインプラスなどでは、この制御力が弱いため様々な窓から適切な案内をしてくれる窓業者に相談して、適切な内窓を選ぶ必要があります。
面としての熱を防ぐ事や、隙間を最も小さくできるのは内窓プラストですので、気流変化の少ない快適な室内にするためには、内窓プラストの選択がベストと言えます。
防音目的での欠点
どこからか音が聞こえる時に「どこかがちゃんと閉まっていないんじゃないか?」という感覚が誰にでもあると思います。防音とはその感覚の通りで、隙間が一番の原因なんです。 新築でも築30年の建物でも、マンションの特殊なサッシを除いて、窓にはそれなりの隙間が残ってしまっているんです。窓が大型化したりペアガラスなどが入って重くなってしまった場合に、様々な人が快適に使えるように、開閉がスムーズだという事はそれだけ隙間が多く、軽やかに動いています。
今お使いの窓から音が気になった場合にインプラスなどの内窓を検討すると思うのですが、設置するインプラスの隙間の量が、もし今お使いの窓と変わらなかったり、もしそれよりも隙間が多かったら、当然期待する防音効果は弱いものになります。
機密性能が低いと高い音が残ってしまう為、防音効果を期待する私たちとは裏腹にインプラスでは不満が残ってしまうかもしれません。
インプラスで防音する場合の注意点
防音したい場合に消したいその音はケースバイケースで全く違う音であると認識する必要があります。ふと窓際で聞こえた運動会のファンファーレの音だったとしてもインプラスで消える場合と全く歯が立たない場合があります。
その違いは伝わる音の周波数の問題です。簡単に言うと同じような音でも弱い音はインプラスでも効果があります。また更にインプラスでさえメーカーが規定する理想的な設置状況や調整があります。窓枠に歪みがあったり戸車を上げる量であったり、また、影響が大きいのが今付いているアルミサッシの性能も大きく関与します。
窓枠もざっと見ると普通の状態なのですが、本当のプロ目線で測定していくと、あっちこっち曲がっていたり反っていたりして、結果的に更に緩い状態で取り付けられたりする事も多いのです。
そのあたりを知識と精度の高い設置を行う業者に依頼しましょう。
防音効果の高い内窓とは
誰でも経験があると思いますが、静かにしなければいけない場所で携帯電話が鳴ってしまった事があると思います。その時に慌てて手のひらで音が出る部分を押さえたはずです。またその時に強く圧着して音がほとんど聞こえないように押さえたはずです。これが防音のしくみです。
今度は窓をイメージしてください。音が漏れてしまう窓が閉まってはいますが、ギュッと押さえるほどのピッタリ閉まっている状態にありますか?インプラスではこのギュッと押さえる感が簡易的な為弱いので、ギュッと閉まるどころか軽く閉まっているような圧着力しかありませんので、当然伝わる音を抑え込む事ができない訳です。
最高の防音にするには窓を閉めた時に上下左右全方位でブレなく音を包み込み、真ん中のフレームに煙返しのパッキンがギュッと閉まる内窓プラストを使い、音の振動エネルギーを跳ね返すものを組み合わせれば、インプラスとは比較にならない空間にする事ができます。
インプラスの設置をお勧めするお客様
インプラスをお勧めできるお客様は、次のような方です
・特に防音目的はない
・戸建て住宅である
・現在結露もひどくはない
・24時間換気や定期的な換気など自分でできている
・窓からくるひんやり感だけを改善したい
・機密性能を求めるよりもコストを抑える事を優先したい
・他の製品とさほど性能を比較していない
・色の好みで決めたい
・他のリフォーム工事のついでに一緒に頼みたい
インプラスの欠点まとめ
住まいの快適性能を向上する為に、内窓を付けて二重窓にする事はどんな家にとってもすばらしい事です。戸建て、マンション問わず、快適というものに対して性能が不足しているは間違いなく窓ですので、そういった意味でインプラスを選ばれるのも良いと思います。 これまでで説明したようにインプラスにもたくさんのメリットがありますが、どんな住まいやどんな目的に対しても、カタログから伝わるようなイメージがイメージした通りに実現する訳ではないので、防音目的や機密性能を求めるような状況では詳しい業者に相談をして、それぞれに必要な情報を得て、比較して選ぶ事が何よりも重要です。
快適な住まいは高機密が故の高断熱であり、住まいには効率の良い換気も必要であり、そしてそのような住宅が不必要な音もカットして静かな環境を生み出します。
防音目的には大きな期待はできませんが、DIYや、どの業者でも取り扱えるという特徴もインプラスのメリットではあると思いますので、是非、目的に会った内窓を選んでみてください。